TENET(テネット)を予習せよ!ノーラン監督の初期3作品『フォロウィング』『メメント』『インソムニア』見どころ解説

2020年9月18日、『ダークナイト』『インセプション』『ダンケルク』などで知られるクリストファー・ノーラン監督の最新作『TENET テネット』が公開されます!

ノーラン監督といえば、壮大な映像と難解なストーリー展開を掛け合わせ、一般の観客・批評家双方から評価される映画を作り続ける、まさに鬼才…!

そんな彼の作品は、どれも「時間」が1つのキーワードとなっています。

  • 『メメント』は、時系列が逆行し、結末から物語が始まるよう編集されている
  • 『インセプション』は、夢の階層が深くなるほど、現実世界の時間の進みが遅くなる
  • 『ダンケルク』は、陸を1週間・海を1日・空を1時間に分けることで、体感時間の差を描いている

上記の通り、どの作品も「時間」が深く関係していることが彼の特徴です。

そして『TENET テネット』は、ついに「時間が逆行する世界」を描くまでに至り、ノーラン監督らしさ全開の作品になるのでは?と既にワクワクしています!!

そこで今回は、映画『TENET テネット』の予習と題して、

ノーラン監督の個性が際立つ初期の3作品『フォロウィング』『メメント』『インソムニア』のあらすじと、『TENET テネット』に繋がる見どころ

を紹介・解説します!

『フォロウィング』(1998年)

クリストファー・ノーラン監督の長編デビュー作品であり、監督・製作・脚本・撮影・編集の5役を1人でこなした、総製作費6000ドルの超低予算の自主制作映画です。

ノーラン監督らしい「時間の操り方」「複雑なストーリー展開」「結末の衝撃」などの作家性がすでに現れていて、初々しさと凄さを同時に感じられる作品です!

『フォロウィング』のあらすじ

作家を目指す男・ビル(ジェレミー・セオボルド)は、作品のアイデアを探すため、街で見かけた人を尾行する習慣があった。

そんなある日、尾行していたコッブ(アレックス・ハウ)に、彼の行いがバレてしまう。

その出来事以来、ビルの人生は大きく変わってしまう……。

『フォロウィング』の見どころと時間の関係【時系列のシャッフル】

『フォロウィング』の見どころでもあり、『TENET テネット』にも繋がる時間的なトリックは、時系列がシャッフルされていることです。

この直後に製作した映画『メメント』にも通ずる、

あえて時間軸をバラバラにし、終盤に真相が判明する映像トリック

は、デビュー作にして、既に完成の域に達しています!

ほぼすべての映画は、映画の始まりから終わりまで、時間が「一定方向(未来)に進む」ように描かれています。

しかし『フォロウィング』は、あるシーンは未来に飛び、その次は過去に戻り、またその次は前に戻り……という感じに、時間軸が意図的に操られています。

そして、これが単なる奇をてらっただけの演出などではなく、

  • ミステリー映画として観客のミスリードを誘う
  • 結末を予想する観客を裏切る
  • 映画に集中してもらう効果を生み出す

といった、ミステリーやサスペンスの面白さに繋がっているのです!

バラバラだったパズルのピースが徐々にハマり、終盤にかけて全体像が見えてくるよう仕組まれた緻密な構成は、これがデビュー作と思えないほどに、お見事!!

ノーラン監督というと『ダークナイト』や『ダンケルク』が有名ですが、彼の個性や作家性が最も現れている作品は『フォロウィング』と、今作に続く『メメント』でしょう。

『メメント』(2000年)

自主制作映画ながら好評を博した『フォロウィング』で知名度を上げたノーラン監督が、映画製作のための予算を与えられ、一流の俳優・スタッフ・製作陣を集めることができた作品が『メメント』です。

『ダークナイト』『インセプション』などの壮大なSF作品で知られるノーラン監督ですが、『フォロウィング』『メメント』のようなドキドキ・ハラハラさせるサスペンス展開もまた、彼の真骨頂です!

『メメント』のあらすじ

レナード(ガイ・ピアース)はある日、自宅に押し入った何者かに襲われ、妻を殺されてしまう。

その時、犯人に突き飛ばされて頭を強く打ち付けたことで、記憶を10分間しか保てない「前向性健忘」になってしまう。

妻殺しの犯人を追うレナードだが、短期記憶が保てないがために疑心暗鬼に陥り、やがて自分さえも信じられなくなっていく……。

『メメント』の見どころと時間の関係【時系列の逆行】

『メメント』の最大の見どころは、時系列を「逆向き」に映し出す、巧みな編集・ストーリーテリングにあります!

『メメント』の物語はいきなり結末から始まり、その結末に向かうまでの展開が、バラバラになった時系列から徐々に明らかになっていきます。

「映画は現実の時間のルールに従って描かれるもの」というイメージが刷り込まれている人ほど、このトリックに引っかかります。

前作『フォロウィング』と同じく、このトリックが本当に面白い!!

10分前の記憶さえも忘れて疑心暗鬼にかられる主人公と、鑑賞中のバラバラの時系列に混乱させられる感覚がマッチして、主人公・レナードの不安や疑念を疑似体験できるのです。

1秒たりとも見逃せないシーンばかりで、良くも悪くも、ノーラン監督作品の中でも最も集中力を使います。

一方『TENET テネット』は、『メメント』のような編集的な時間操作ではなく、世界観そのものに「時間の逆行」という概念があるため、今作よりは分かりやすいのでは…?と予想しています。

『TENET テネット』を鑑賞する前に、ノーラン監督の時間に対するこだわりやクセを『メメント』で予習しておくと良いでしょう!

『インソムニア』(2002年)

前作『メメント』が興行収入・批評ともに好評を博したことで、アル・パチーノとロビン・ウィリアムズというハリウッドスターを迎えて製作されたサスペンス映画が『インソムニア』です。

原題のInsomnia(ノルウェー語)は英語で「不眠症」の意味があり、タイトルの通り、白夜や自責感から不眠症を患うアル・パチーノの演技に魅了されます!

『インソムニア』のあらすじ

白夜が続くアラスカの田舎町で、17歳の少女が殺される。

この事件の解決に、ロサンゼルス市警からドーマー刑事(アル・パチーノ)が派遣された。

1日中太陽が沈まない白夜に苦しみながら、彼は犯人(ロビン・ウィリアムズ)に徐々に近づいていくが……。

『インソムニア』の見どころと時間の関係【時間=敵】

他のノーラン監督作品と比べると、『インソムニア』には時間のトリックはなく、シンプルなサスペンス映画に仕上がっています。

トリッキーな作風が好きなノーラン好きからすると、今作が「物足りない」と言われる理由も分かります…。

しかしながら『インソムニア』もまた、「白夜」という時間の感覚が狂う状況に悩まされ苦悩する主人公が描かれ、ノーラン監督のスタイルである「時間=敵」の構図が出来上がっています!

そしてもう1つの見どころは、アル・パチーノとロビン・ウィリアムズという、二大俳優の共演です!

  • 『ジュマンジ』『ナイトミュージアム』などで知られるコメディ俳優ロビン・ウィリアムズが、一切笑いのない、いやらしい悪役を演じていること
  • アカデミー主演男優賞に輝くアル・パチーノの、終始眠そうで、徐々にやつれていく演技力

ストーリーや構成がシンプルなだけに、俳優の演技にしっかりと注目できる作品でもあります。

長編映画3作目にして、ハリウッドスターの演技力をここまで引き出せるノーラン監督の手腕にも驚かされます!

『インソムニア』でハリウッドスターと仕事ができた経験は、後の超大作映画や『TENET テネット』にも活かされています。

まとめ

  • 『フォロウィング』の、時系列のシャッフル
  • 『メメント』の、時間の逆行
  • 『インソムニア』の、時間=敵の構図

どれもノーラン監督の個性が溢れていて、見れば見るほど味わい深い作品ばかりです。

予告編から分かる通り、『TENET テネット』は明らかに「時間」との関連が深く、過去作品を鑑賞することで『TENET テネット』を深く楽しめることは、間違いありません!

時間を作り、腰を据えて、初期のノーラン作品をじっくりと楽しみましょう!